ソーシャルディスタンシングの可視化技術をアーケード商店街で実証

新型コロナウイルス感染症がワクチン接種の広がりによって終息するまで――。日本においては経済を回すためにも、感染症の拡大防止対策をしたうえで、イベントへの集客や回遊性を確保することが一層重要になっている。

Uスマート推進協議会でも、宇都宮スマートシティモデル推進計画の施策「スマート・ホスピタリティ」実証プロジェクトにて、人流データからその時々の混雑情報を来訪者へ発信することで、イベント時の来街者の安全確保や地域経済活性化の実現を目指しているという。NECは、宇都宮市中心街のアーケード商店街において、映像解析による"ソーシャルディスタンシング判定技術"の実証実験を今年1月~2月に行った。

同商店街内4ヶ所に映像解析用カメラを設置し、上記判定技術を用いて、確保すべき距離(例、2メートル)を円で表示し、円同士が重なる場合を赤い円、円同士が重ならない場合を青い円として表示したものをデータとして取得し、時間別に人数、混雑度を統計化してグラフにした。歩行者個人を特定可能な情報は保存せず、統計情報である推定データのみを保存することでプライバシーに配慮した。

混雑度を分析・可視化してデータ化することで、イベント開催や感染症拡大防止の推進などへの活用を目指す。上記実証実験によって、対象エリアにおける一日の歩行者数と混雑度の推移、平日休日の違い、街中イベント時の傾向等の分析結果が得られた。歩行者数や混雑状況をリアルタイムに把握する技術は、交通・公共施設や観光地等での回遊性向上や感染防止対策、ルート案内やスタッフ配置計画等への活用が期待できる。

今回の実証実験は、国土交通省が推進する3D都市空間情報プラットフォーム「PLATEAU」において、3D都市モデルのユースケース開発の一環として実施したものだという。同社はこのプロジェクトに参画することで、デジタル化社会におけるまちづくりのDX化を進めていく考えだ。