8K内視鏡手術映像×5G、低遅延・高画質の遠隔伝送に成功

水平画素数がフルハイビジョンの倍である4Kの、さらに倍の8Kでは、近くで見ても画素を認識できないほどの超精細性により、臨場感が大いに増し、実物と映像との区別がつかなくなる。そのコンテンツは非常に大容量のものとなる。8Kのしくみを遠隔医療などで活用するには、高速伝送路を要する。

遠隔地にいる熟練の専門医が、手術現場の8K内視鏡映像を見ながら執刀医に適切な指示指導を行う。熟練医師のいない地域でも質の高い医療提供が可能になると期待されている。遠隔での手術を実現するためには、超高画質ながら大容量の8K映像を、無線も含むネットワークで可能な限り遅延を抑え、高画質のままで送受信することが重要だという。

NHKエンジニアリングシステム三菱総合研究所富士通は、総務省事業「4K8K高度映像配信システムの産業横断的な活用に向けた調査研究」の一環として、映像配信高度化機構およびNTTドコモと連携し、8K内視鏡カメラであらかじめ撮影した手術中の8K映像を、5Gシステム経由で遠隔地に伝送する技術実証実験を今月17日・18日に実施し、許容範囲内の遅延で高画質のまま8K映像を送受信できることを確認した。

8K内視鏡カメラを使った手術映像(関連情報:国立がん研究センター)と、オリンパスの8K腹腔鏡を用いて撮影した手術中の映像を、5Gを含むネットワーク経由で「4K8K高度映像配信システム」(技術仕様書PDF)に蓄積しつつ、新宿の「ドコモ5Gオープンラボ®Yotsuya(手術施設想定)」から、渋谷の「スクランブルホール(専門医待機施設想定)」に配信した。

2種の8K映像を同システムにデータベースとして登録し、5Gネットワークで複数端末へ高画質同時配信することにも成功した。3社は今回の結果を踏まえて、5G×4K8K高度映像配信の課題検証を行い、その医療分野等における産業横断的な利活用に取り組んでいく構えだ。