秩父山系でスマートモビリティ、人と物の移動ネットワークを構築する

そこは都会からのアクセスがよく、大自然と歴史文化あふれる観光地として有名だ。一方、山間地域が多く市民の高齢化も進んでいて、災害時や日常生活における交通手段の確保および物流インフラの維持が困難であり、若年層を中心とした都市部への人口流出による人口減少が課題となっている。

埼玉県秩父市では、「豊かなまち、環境文化都市ちちぶ」――すべての人が安心して住み続けられるまちづくりの推進を基本方針に掲げていて、Society5.0実現を目指しているという。同市と、ゼンリン三菱総合研究所楽天西武ホールディングス西武鉄道西武観光バスアズコムデータセキュリティ早稲田大学の9者は今月18日、山間地域における物流・公共交通ネットワーク「秩父モデル」構築への取り組みを開始した。

昨年11月の「秩父市生活交通・物流融合推進協議会」設立が契機だという。今回の事業では、物流、生活交通、観光交通、医療等の多様な分野のサービスについて、「ドローン物流」「遠隔医療」「MaaS」(貨客混載・EVカーシェアリング)などの先端技術を活用してヒトとモノの移動を最適化・効率化し、サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させた社会の実現に向けた事業モデルを構築していく。

各者が持つ強みや技術を生かした連携体制をとりながら地域産業と共生し、2024年にはサービスの社会実装を実現する。物流・買い物・医療・交通サービスを有機的に結合していくには、各々で保有する多様な情報(人・モノ・クルマの位置情報、事業者情報、物流・交通結節点の位置情報等)をクラウドで集約・分析し、各サービスへ的確に情報提供することが必要となるため、「秩父版ダッシュボードシステム」を開発する。

多彩なMaaSデータ×地図情報で地域ごとに異なる交通課題を可視化する技術を持つゼンリンは、今回各種地図データの整備・提供もしながら、事業全体を統括していくという。