口語から文語へ、顧客コール対応の要約文を高精度に自動生成する

商品・製品やサービスに対する問合せやクレームなどに応える。コールセンターは企業等ないしブランドを代表する窓口のひとつであり、顧客満足度を左右する。そこで行われる適切かつ迅速なアフターコールワーク――電話応対終了直後にする報告書作成等が、新しい価値の創出につながることもある。

労働集約型部門・施設であるコールセンターにおいて、顧客との対話内容を記録するのは機械装置であっても、アフターコールワークは人力が主である。一般的なAIでは、報告書に不可欠な文が約30%しか含まれずオペレーター業務の効率化に役立たない。今月17日、三菱電機は、同社AI技術「Maisart®」を用いて、話し言葉から書き言葉の要約文を高精度に自動生成する「知識処理に基づく対話要約技術」を開発したと発表した。

これにより、アフターコールワークにおける報告書作成時間を半減(録音データおよび報告書による評価)するという。新開発技術は、独自AIが通話履歴と過去の報告書を事前学習することで、電話などにおける対話の文脈を理解し、話し言葉特有の表現や類義表現を統一した書き言葉に補正する。

補正された書き言葉の文を過去の報告書と照らし合わせ、最も意味が類似し、かつ短い文を自動抽出することで、製品情報や症状など報告書に不可欠な文が約90%含まれる要約文を自動生成する。さらに、人手による補正箇所をAIが自動学習し、使用するたびに補正精度が向上。AIが生成した要約文を人が補正した場合、AIが書き言葉の補正誤りとして自ら追加学習――次回からその学習内容で要約文を自動生成する。

音声認識・自動生成で平均約1900文字だったところ、新技術により、必須文章を9割含みながら約100文字に圧縮した要約文を生成できたという。同社はこの対話要約技術について、自社のコールセンターで実証評価した後、修理受付や製品に関する各種問合わせ業務へ適用していく構えだ。