AIによる配送ルート最適化で総走行距離を日に300km削減

各種産業や社会インフラ、医療および行政のしくみのデジタルトランスフォーメーション(DX)が強く求められている。日本は少子高齢化という社会的課題を抱えていて、コロナ禍においては尚更、IT(情報技術)を駆使して生産性や効率性の向上を図ることが、あらゆる分野で必須となっている。

一方で皮肉にも、ITを活用したビジネスである電子商取引の発展とともに労働力不足が一層深刻化している。物流業界にはかねてよりDXに積極的な企業が多い――。21世紀の物流分野において、これまでも、車輛の配送ルートを最適化するサービスはあったものの、複数車輌で荷物を分割配送するような複雑なケースでは人手に頼らざるを得ず、計画のできにも優劣が生じていたという。

OKIはAIを用いた最適化技術(19年9月適用事例発表)により、配送計画(配送先と順番、車輛への荷物積載の内訳)に基づく配送総走行距離を最小化する解を自動で導出する「コスト最小型ルート配送最適アルゴリズム」を開発した。同アルゴリズムは、1拠点に1台で一括配送~複数車輌で荷物を分割して配送するケースまで、多様な配送パターンの条件を自動分析しつつ走行距離・コストが最小となる最適解を算出する。

上記AI技術の有効性について、同社は今年2月、ルート配送計画の自動化とコスト最小化を推進しているロンコ・ジャパンの協力のもと、実証実験によりそれを確認した。新開発アルゴリズムにて配送計画の最適解を算出した結果、車輌13台の配送総走行距離を、人手で策定した配送計画より1日当たりで約300km削減。試算上、燃料代は年間約360万円削減可能であった。

走行距離の最適化と短縮により年間約440kgのCO2排出量削減が見込まれた。今回の取り組みは、コロナ禍で物流のひっ迫が社会課題となる中、AIによるDXでその緩和に資するものであり、グリーン社会の実現(政府指針)への貢献が期待されるという。