"給報"業務をAI-OCRでDX

各種産業および社会のしくみのデジタル化(DX)が急がれる。日本では平成30年度の税制改正により、給与支払報告書(給報)について、令和3年1月から地方税ポータルシステム(eLTAX)または光ディスク等による提出が義務化された。

前々年の税務署に提出すべきであった給与所得の源泉徴収票が100枚以上(つまり従業員100名以上の組織)であった場合との条件付だが、多くの企業においては、環境整備にかかるコストやeLTAX利用の習熟等が課題になっていて、未だ紙で給報を提出している。これまでも紙の給報のエントリー業務省力化を目的に、OCR(光学式文字読取り装置)による電子化のアプローチがなされてきたが――

給報のレイアウトが無数にあり、事前に読み取る項目や場所などのレイアウト定義をすることが難しいうえに、高い読み取り精度が求められるなど、"給報"実業務へのOCR適用は困難だったという。SGホールディングスグループでIT統括事業を担うSGシステムは今月9日、自治体やBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)事業者が扱う給与支払報告書を対象に、AIを活用したOCRサービスの提供を開始した。

同社は、佐川急便の配送伝票のサイズ・重量入力業務を自動化するAI-OCRをフューチャーアーキテクトと共同開発し、入力業務にかかる作業時間を月間8,400時間短縮('19年ニュース)した。AI-OCRを活用しグループの帳票入力業務を自動化するなど業務効率化に貢献してきた、実績とノウハウをもとに開発した「Biz-AI×OCR」について、グループ外への提供開始('21年1月ニュース)から2ヶ月ですでに複数顧客が導入済みである。

「Biz-AI×OCR」のサービスメニューの1つである、給報向けAI-OCRは、AIによる読み取り項目の自動認識や、複数のAI-OCRエンジンの組み合わせによる高い読み取り精度が特長だという。