地域住民へ避難指示を行う自治体では、気象予測のみならず、河川の状況変化を素早く把握するニーズがより一層高まっている。しかし従来の河川水位予測では、河川測量データや過去の観測(雨量・水位・流量)データを用いているため、中小規模の河川や水位計が新規に設置された場所ではデータ量の不足などにより、水位予測が困難だった。
上記課題を解決するため、水文学(すいもんがく)における流域からの雨水の流出を表現した流出関数法による関数を作成し、過去の観測データを機械学習させた水位予測モデル(数理モデル)を富士通研究所と共同構築したという。富士通は、過去の雨量・水位データと数時間先の気象データ(各機関の降雨予測)から、洪水に至る河川水位を予測する「AI水管理予測システム」を開発。これを今月4日より企業・団体向けに販売する。
河川改修や洪水などに伴う環境変化があっても、少量のデータを用いて再学習させることで、水位予測モデルを短期間で最適化できる。同システムは、「AI予測機能で、わずかな過去の雨量、水位データから河川水位予測をリアルタイムに実現」「気象庁雨量データ変換機能により、予報雨量を関連雨量局地点の予測雨量にリアルタイムに変換」「コンテンツ作成機能で水位予測結果を可視化し、迅速で的確な意思決定を支援」といった特長を有す。
ゆえに自治体では即時かつ的確に現場出動や避難勧告発令の意思決定が可能になり、企業では自社の水防活動や防災・減災に向けた取り組みを大幅に強化できるという。上記システムをはじめとする様々なソリューションの提供を通じて、富士通は、気候変動対策に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献していく構えだ。