設備保全のためのエッジAI、異常波形データの追加学習で一層強力に

設備やインフラ構造物の効率的な保全が求められている。現場では、定期検査で故障の兆候を迅速に検知できなかったり、すべてを検査対象にしてコスト高を招いていたり、そもそも複雑な設備状態の認識は難易度が高いのに、労働力不足により技術継承が困難になっていることもある。

そこで人工知能(AI)を用いて振動や音響などの波形データを解析し、異常・予兆検知につなげるニーズが高まっている。そのような検知を行うためには異常を判別するための閾値を事前に定義する必要がある――が従来、設備や構造物によっては、なかなか異常が発生せず異常データが取りにくいとか、設置後の動作環境(条件)変化により正常状態を示すデータに振れ幅が生じるといった課題があったという。

OKIは、AIエッジコンピュータ「AE2100」の波形解析ソフトウェアに、判別モデルが自動更新される「追加学習モード」を加えた「ForeWave® for AE2100 Ver.3.0」を今月3日に発売した。設備動作や環境条件の変化に応じた正常データの振れ幅をエッジで自動学習し、自ら賢くなる。同モードでは、初期作成した判別モデルに対し、運用中に得られたデータに応じた正常状態の閾値の拡張をAIが自動学習し、そのモデルを自動更新する。

エッジ領域(現場)でのリアルタイム解析と追加学習機能により、導入後の環境変化によって正常状態の閾値が変化しがちな設備やインフラ構造物の異常・予兆検知の精度を向上する。設備・構造物監視への状態基準保全(劣化状況にあわせて都度メンテナンス)の適用が可能となり、道路や橋梁などのインフラ構造物やプラント工場の大型設備などにおける保全業務を効率化するという。

同社は、これからも顧客の課題解決に向け、ForeWave for AE2100の機能強化・商品メニューの拡充によりさまざまな設備やインフラ構造物の維持管理効率化に貢献していく考えだ。