過疎地域DX、5Gと4Kカメラ映像で遠隔診療・リハビリ指導実現へ

人々の生活をより良くしていくデジタルトランスフォーメーション(DX)が盛んに謳われている。近年、地方自治法で定められている人口5万以上の市でも、人口減少、過疎化、少子高齢化が進み、山間部等のへき地における通院困難患者や医療資源負担の増加といった深刻な課題を抱えている。

独居ないし老老介護世帯の増加を背景として、身体機能低下の発見が遅れた結果ADL(日常生活動作)が低下し、入院リハビリ介入が必要となるケースが増えている。地域交通インフラ不足により、診療・リハビリ指導を必要とする住民の通院が困難となっている。理学療法士は全国に偏在している一方、訪問リハビリテーションの需要は全国的に増加している。これらの問題点を片付けるには――

①高齢者の健康異常を早期に「検知」、②物理的距離にかかわらず医療を提供、③遠隔で健康指導・リハビリ指導を行うため 「高解像度な映像・データ」を伝送できることが不可欠であり、高速・大容量かつ高信頼性・低遅延の通信環境が望まれるという。

NTTデータ経営研究所ドコモ東海新城市民病院名古屋大学新城市理化学研究所ニプロソシオネクストは、総務省「地域課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」の請負事業でコンソーシアムを設立し、過疎地域診療に向けた実証実験を実施。5Gと4Kカメラを使用し、実証地域の診療所や集会所と中核病院の医師を繋ぐことにより、超音波画像検査(腹部エコー)などの遠隔診療や遠隔リハビリ指導を行った。

結果、腹部エコーやリハビリの映像において良好な解像度が得られ、映像伝送やデータ転送の遅延時間も許容範囲内であり、問題なく遠隔診療やリハビリ指導が可能となることを確認した。今後は、高精細な映像伝送・診療システムによって、予防医療を担う医療従事者の不足や、山間部等の過疎地域へ医療従事者を派遣する負担の増加など、各種課題の解決に貢献していくという。