独居ないし老老介護世帯の増加を背景として、身体機能低下の発見が遅れた結果ADL(日常生活動作)が低下し、入院リハビリ介入が必要となるケースが増えている。地域交通インフラ不足により、診療・リハビリ指導を必要とする住民の通院が困難となっている。理学療法士は全国に偏在している一方、訪問リハビリテーションの需要は全国的に増加している。これらの問題点を片付けるには――
①高齢者の健康異常を早期に「検知」、②物理的距離にかかわらず医療を提供、③遠隔で健康指導・リハビリ指導を行うため 「高解像度な映像・データ」を伝送できることが不可欠であり、高速・大容量かつ高信頼性・低遅延の通信環境が望まれるという。
NTTデータ経営研究所、ドコモ東海、新城市民病院、名古屋大学、新城市、理化学研究所、ニプロ、ソシオネクストは、総務省「地域課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」の請負事業でコンソーシアムを設立し、過疎地域診療に向けた実証実験を実施。5Gと4Kカメラを使用し、実証地域の診療所や集会所と中核病院の医師を繋ぐことにより、超音波画像検査(腹部エコー)などの遠隔診療や遠隔リハビリ指導を行った。
結果、腹部エコーやリハビリの映像において良好な解像度が得られ、映像伝送やデータ転送の遅延時間も許容範囲内であり、問題なく遠隔診療やリハビリ指導が可能となることを確認した。今後は、高精細な映像伝送・診療システムによって、予防医療を担う医療従事者の不足や、山間部等の過疎地域へ医療従事者を派遣する負担の増加など、各種課題の解決に貢献していくという。