小型生活家電が牽引、2020年の家電小売市場は約7.3兆円に

春は新生活の季節だ。入学や就職を機に一人暮しを始めて、なにわともあれ家電量販店を訪れる人も多かろうと思われる。しかし昨年はコロナ禍のせいで様子が違った。春どころか、一年中、皆に新しい生活様式が求められ、売れ筋商品の変化しただろうことは想像に難くないけれど実態は――?

今月18日、GfK Japanは、全国の有力家電・IT取扱店の販売実績データ等を基に、2020年の家電およびIT市場の販売動向を発表した。同年の家電小売市場規模は前年から2.9%増の7兆2,800億円となった。コロナ禍に伴う需要も発生し、結果的に前年を上回った。分類別に見ると、AV関連製品、IT関連製品のほか、家事・調理・理美容・健康家電等から構成される小型生活家電が前年を大きく上回ったという。

AV関連製品はエコポイント制度、アナログ停波から10年が経ち、ここ数年はテレビの買い替え需要に支えられている。IT関連製品はWindows 7のサポート終了に伴うパソコンの買い替え需要に加え、テレワーク需要も市場拡大の後押しとなった。小型生活家電は、いわゆる巣ごもり需要で調理家電の販売が伸び、コロナ対策として空気清浄機、加湿器等でも特需がみられた。

一方、スマートフォンを中心とする電話関連製品は春の最需要期における店舗の時短営業が逆風となり、カメラ関連製品は旅行やイベントの中止が響き、前年を下回った。インターネット販売は外出自粛が追い風となり、販売金額で2割を超える伸びとなった。この結果、家電小売市場におけるインターネット販売の金額構成比は前年から3%ポイント上昇し、19%となった。

2020年の生活家電市場は、特別定額給付金の支給が比較的高価格な大型生活家電の買い替えを促進させたほか、外出自粛による巣ごもり需要の拡大なども小型生活家電の販売を押し上げた。
――各出荷台数や市場傾向・実績も、同社のインサイトでは詳説されている。