高調波センサ×クラウドAI、製造現場の設備保全をデジタル転換

様々なものを製造する、機械工業化された現場では各種設備のメンテナンス作業――「保全」が行われている。設備の故障停止を確実に回避する、そのための作業が高頻度・高コスト化している昨今、設備の状態変化に応じて適時保全できるしくみが求められているという。

パナソニック、インダストリアルソリューションズ社は、業界初(2月8日同社調べ)となる"高調波センサとAIの組み合わせ"による「AI設備診断サービス」を開発した。今年4月に提供を開始(予定)する。同サービスは、設備の「いつもと違う」状態への変化を検知し現場へ通知することで、利用者の予兆保全の実現に貢献する。制御盤内への設置が可能で設備を止めずに導入できるため、幅広い製造現場での生産性向上に寄与するという。

同社が独自開発した高調波センサは、機械要素部品の状態変化が現れやすい「電流内の高調波領域の波形変動をクリアに取得」。一般的な電流センサでは難しかったことを可能にする。振動センサで設備診断を行う際に課題となりがちな、診断対象の周囲の振動にも影響を受けることがなく、高いセンシング性能を実現している。

さらに一般的なAI分析と違い、分析前に設備の動作特性に基づいて「計測データから診断に必要な部分を抽出して分析精度を向上」、環境面や構造面からセンサを取り付けることが難しかった「設備本体でなく、制御盤への設置で設備を止めることなく導入が可能」(制御盤内コントローラの三相配線のうち1本に挟むだけ)といった特徴を備えている。

同サービスでは、上記モニタリングにより、機械要素部品が「いつもと違う」状態に変化したことを検知し、ユーザへ通知する。顧客企業は設備の状態変化に応じた保全が可能となり、設備停止のリスク回避や保全費の低減を実現できる。そのうえ、非接触かつリモートでの設備診断が可能となり、製造現場における感染症リスクの低減についても、期待できるという。