AIにて配筋検査、建設現場で先進ITシステムサービスが始動

生産年齢人口が減少している。この国では様々な産業分野で、ロボティクスや人工知能、IT(情報技術)などの活用が進みつつある。人手不足が特に深刻な建設分野において、生産性アップは避けられない課題だという。

国交省は魅力ある建設現場を目指すi-Constructionを推進中で、これにより建設現場における一人ひとりの生産性を向上させ、経営環境を改善し、安全性確保等を実現していく――取り組みは現在、「ICT土工」が中心である。一方、土木工事が完了した後の、建物における先端技術の活用はまだこれからの感がある。コンクリート構造物を支える鉄筋は、安全性の要であり、施工者がその配置を必ず念入りに確認する。

今月3日、三菱電機は、建設事業者向けに独自のAI技術「Maisart®」を活用して開発した新サービス、コンクリート構造物の建設時に鉄筋が正しく配置されていることの検査を支援する「AI配筋検査システム」を、月額定額制で提供開始した。このサブスクリプションサービスは、ハードウエアの購入を不要とし、初期投資や資産管理を簡易化するという。

ステレオカメラ搭載の端末に、天候や鉄筋の状態など条件が異なる配筋画像を深層学習させたAIを実装した「AI配筋計測技術」により、撮影画像から鉄筋の本数、径、間隔を自動計測する。撮像からの鉄筋の検出率100%、鉄筋径の判別可能範囲D10~D51(径約10mm~51mm)、鉄筋間隔の計測精度±5mmなど、高精度な配筋検査を実現する。

新サービスでは、同社クラウドとAI配筋検査端末とを連携し、配筋検査帳票の作成、配筋検査、検査報告書の作成まで、手作業による転記なく自動で実施可能。従来比で検査時間を約60%短縮し、作業を効率化。出来形管理や写真管理を行う「施工管理システム」との連携も可能だという。同社は、配筋検査の省力化を通じて、建設現場の生産性向上に貢献していく考えだ。