非常事態に対応する、出社制限などを行う国内企業は7割

2011年3月11日、東日本大震災があり、福島原発事故が発生した。以来、日本においても事業継続計画(BCP)が真剣に検討され、危機管理が確立されていたはずである。9年後の同月同日、新型コロナウイルス感染症の世界的流行をWHOが宣言した。

コロナ禍が続いている。今月2日、慶應義塾大学は、同大学商学部の濱岡豊教授が07年から行っている国内の製造業を対象とした調査において、2020年版では東日本大震災・福島原発事故によって受けた影響や、業務継続計画などの立案状況、COVID-19パンデミック以降のリモートワークの状況、市場や業績への影響などを明らかにしたことを発表した。

昨年11月下旬、1283社の製品開発部門長あてに行われ、12月末までに95社(上場33社、非上場62社)が回答。そのうち「非常事態に関連する設問」を集計すると、政府や自治体の指針に応じて対応する企業が7割あり、行政府の迅速な意思決定の重要性が浮き彫りになった。売上に大きな影響を受けた一方で、新しいニーズや販路を見いだした企業も少なからずあったとの結果も得られたという。

同震災・事故時に非常に大ないし大きな影響を受けた企業は2割程度で、サプライチェーンへの影響が大であった。さまざまな緊急事態対応のため6割の企業がBCPの策定や社内訓練を行っているが、かつて影響を受けた「調達先の整備」「生産拠点の整備」など外部との調整を行っているのは4割程度。「官庁、自治体との情報共有、連絡」を行っている企業は約2割に過ぎない。

COVID-19対策としてリモート化が進んでも、「全社的な出社頻度」はほぼ変わらず、意思決定の円滑さに否定的な企業が多い。この緊急事態に、より厳しい基準で出社制限などを行っている企業は約1割で、7割が国や自治体の指針発出タイミングで出社制限などを行っているという。調査結果の詳細(速報版PDF)は教授のWebにある。