医療現場にかかる負担をAI判定・予測システムで軽減する

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が止まらない。検査陽性者数が増えたり減ったり、また増えたり、そしてそれが長期化している。日本では、地域医療を含む中核病院において、新型コロナウイルス肺炎患者の受け入れ体制を安定的に持続することが、益々重要になっている。

同肺炎患者の看護には、重症病床での人工呼吸器管理など高度な専門性が求められる。そこでは、入院患者数の増加に伴って、一般病床も含めた看護師の業務負担が増す傾向にある。そのため、患者数や症状に応じて必要になる看護師の業務量を的確に予測し、限られた人員を各病床へ適切に配置することで、病床の有効活用に繋げることが重要だという。東京医科歯科大学富士通は医療現場の負担を軽減するシステムを開発する。

今月2日、新型コロナウイルス肺炎の判定、重症化予測や看護業務量予測などを行うAIの有効性を検証する共同研究を開始した。上記システムを構成するAI技術のひとつ、「胸部X線写真による肺炎罹患判定AI」では、同大学が保有する新型コロナウイルス肺炎患者の胸部画像DICOM®データを匿名化した上でAIに学習させ、患者の肺炎の有無や罹患部位をAIが判定する精度を検証する。

「重症化予測AI」では、関連論文にある重症患者の病歴や診療情報をAIに学習させ、患者の肺炎の病状変化を予測し、ノモグラム図として可視化。入院患者一人ひとりの病状変化の予測に応じた治療の優先順位決定を支援する。重症化予測AIと連携する「看護業務量予測AI」では、看護師の業務をその専門性や業務負担などに合わせて数値化し、AIが事前に学習。患者の病床移動スケジュールも含め幅広く有効性を検証するという。

両者は9月30日まで行う今回の共同研究により、医療分野でのDXを進め、幅広く医療現場を支援するとともに、コロナ禍における安定的かつ継続的な病院経営に貢献していく考えだ。