食品流通DX、サプライチェーンの最適化を全国へ拡大

IT(情報技術)を活用して多彩な物事をより方向に転換していくデジタルトランスフォーメーション(DX)が注目されている。現在、様々な分野で、データ駆動型の第4次産業革命や、国連SDGs達成への気運が高まっている。

食品流通分野でもデータを活用した効率化やビジネス創出による収益拡大、食品ロス削減(SDGs12)等の実現が強く求められている。一方で、食品メーカー・卸・小売は、需要予測等に必要なデータを個々に保有している。上記課題を解決するには、業界全体でのデータ連携が必要だという。伊藤忠商事は、傘下の食品卸大手日本アクセスと連携し、食品サプライチェーンDXを本格的に展開する。

その手始めとして、人工知能(AI)を用いた需要予測・発注最適化ソリューションの導入を今月1日に開始した。両社はデータ活用をリードするブレインパッドやグループ会社のCTCとともに、昨年より一部の物流拠点にて、小売店の販売データ等を活用した需要予測と発注自動化の実証実験を行ってきた。結果、一定の在庫削減効果と発注業務の効率化が確認された。

ゆえに今回、対象となる物流拠点を全国へ拡げる方針を決定したという。AIを活用したメーカー向け自動発注は、小売の業務データ(在庫・売上・発注)と卸の業務データ(在庫・入出荷・商品毎の発注ロット)に加え、天候データやカレンダー情報を入力値として機械学習モデルを構築。メーカーが要求する発注ロット単位での推奨発注値を算出し、既存の発注システムにデータ転送する。

一部顧客向けの飲料や酒、菓子など常温商品(約1,000商品程度)から始めて、順次対象を拡大する。商品・原材料調達~小売店舗向け物流、食品サプライチェーン全体の最適化も視野に入れ検討を進めていく。将来的には、取引先メーカーの工場稼働・物流倉庫の効率化や小売におけるフードロス/機会ロス削減に寄与するサービスの提供などを目指すという。