水道ポンプ×蓄電池、市内に分散配置された施設にてVPPの実現へ

気候変動が大きくなり、温室効果ガスの削減が叫ばれている。近年、日本においても太陽光や風力など再生可能エネルギーによる発電が期待されていて、分散されてある小型発電・蓄電設備をあたかもひとつにして機能させる「バーチャルパワープラント(VPP)」の実証が進んでいる。

再生エネは天候の影響を受ける。その導入拡大に伴い、系統安定化対策の重要性が高まっている。そこでVPP・DR(ディマンドリスポンス)を用いれば、系統安定化コストの低減や電力需要の負荷平準化が可能となる(参照:資源エネルギー庁Web)。

VPPにより需要を創出できれば、発電した電力の有効活用が可能となる。当初の計画を上回る需要を創出することにより、需給バランスを保つことができ、より多くの再生エネの導入に役立つだろうという。神戸市水道局出光興産横河ソリューションサービスは、神戸市内に分散設置された水道施設と、出光興産が設置した産業用蓄電池を活用する地域協調型のVPP構築実証事業を1月18日に開始する。

水道施設にあるポンプ(需要家)と蓄電池を、高度なエネルギーマネジメント技術とデジタル技術により遠隔・統合制御する。今回、同市水道局では、横河ソリューションサービス(リソースアグリゲータ)から提示された電力供給量や抑制量などのガイダンス情報に基づいて各ポンプの起動・停止に関する制御を行い、地域の電力需給バランス調整に必要な調整力を創出する。

出光興産は大型蓄電池をエネルギーリソースとして提供し、水道局のポンプ群と連携した充放電制御の効果を検証する。横河ソリューションサービスは上記ガイダンス情報の提示に加え、当該情報に基づいたポンプ制御による電力値の変化から、目標に対する過不足分を予測演算し、蓄電池を充放電制御して微調整することで、質の高い調整力を創出する――。今回の事業は関西電力による「関西VPPプロジェクト」の一環で実施される。