SA型ローカル5G基地局を開設、産官学で各種アプリの実証へ

およそ4年前から海外動向をにらみつつ、日本は第5世代移動通信(5G)の実用化を目指してきた。現在、大手キャリアによる5Gは高速・大容量を特徴とし、5G規格本来の超低遅延および多数同時接続をも含めたしくみは、地域課題を解決する「ローカル5G」で期待されている。

「2020年の5G実現に向けた取組」と題したPDF資料を18年末に開示した総務省は、20年10月に、同資料の更新版を「5G・ローカル5Gの普及・高度化に向けた取組」(同省PDF)として公開している。「令和2年情報通信白書」にある全国レベルの5G社会の実現は遠大で時間を要するが、展開範囲を絞った仕組みの実現、つまり地域の企業・団体が描くローカル5G社会は身近だし、即効性があるだろう。

昨年より制度化が進められている。ローカル5Gは、地域や産業分野の個別ニーズに基づいた比較的小規模な通信環境を構築することで、地域や産業分野の課題にきめ細やかな対応を可能にするもので、地域の活性化、産業の効率化・高度化に役立てられる。そこで先月16日、JRCは、総務省信越総合通信局より5Gシステムのサブ6GHz帯(Sub6)に対応した実験試験局免許を取得。ローカル5Gの実証実験を開始した。

同局管内(長野県、新潟県)におけるローカル5G向けの免許取得、実験は同社が初めてとなる。今後、産官学で連携し、様々なアプリケーションを実証試験していくという。実験システムはSub6で、屋外においてもエリア構築可能な4.8~4.9 GHzを使用する。5G単独でエリアをカバーでき、5Gの真価をフルに発揮できるスタンドアロン構成をとる。

「無線伝送特性の評価」と「5Gシステムを活用したアプリの実証実験」を軸に、高速大容量・超低遅延を活かしたアプリの実証、防災・減災、スマート工場、遠隔医療、ICT建機等の分野でデータの見える化とAIによる新たな価値創出を進めていく構えだ。