後付け可能な非接触操作パネル、ホログラム技術用いて量産化へ

新型コロナウイルス渦中にある、日本はもとよりあらゆる国で新しい生活様式が求められている。機械化が進んだ国の人たちは今、ものに触れることを極力避けている。券売機等の操作パネルやエレベーターのボタンに指先をつけることを恐れ、共用キーボードに虫酸を走らせアルコールをかけたくなる――。

今月6日、DNPは、空中表示画像を指先で操作できる「DNP非接触ホロタッチパネル(ホロタッチ)」をリップマンホログラムの技術を活用して開発したと発表した。日本国内で唯一リップマンホログラムのフィルムの量産技術を保有している同社は、その強みを活かし、21年度に「ホロタッチ」を製品化する。

3D画像表現に優れたリップマンホログラムは、画像を記録したフィルムに一定の角度からLEDなどの点光源の光を当てることで、フィルムから離れた空中に画像を浮遊させられる(距離は約50mmまで調整可能)。この技術を活かし、フィルムに描画した操作ボタンなどを空中に浮かべて、赤外線などで空中の位置を検出するセンサーと組み合せた「ホロタッチ」はDNP独自のシステム(特許出願済)だという。

操作ボタンなどを描いた上記フィルム+センサー等の構成により、既存の端末・入力機器に後付け設置するだけでタッチレス機器として活用できる。軽量・コンパクトであり、プロジェクター等の大型設備を必要とせず、低コストで導入できる。「ホロタッチ」では手指に反応する柄を見て行う、空中での指操作が容易である。入力ボタンをテンキーや矢印・決定・キャンセルキー等にすれば、利用者の直感的な操作に役立てられる。

銀行ATMや店舗レジなど、既存のタッチ式ディスプレイ端末に後付けでフィルムを貼ることで、空中操作を可能にする。「ホロタッチ」を端末・センサーメーカー等に提供する同社は、今年3月発売の「空中ディスプレイ入力端末」とあわせて、安心なサービス環境づくりを支援していく考えだ。