新常態のラボ業務、LCの状況確認や解析等をリモートでも可能に

医薬品、食品、化学分野などで高速液体クロマトグラフィー(HPLC)という分析手法及びそれを行うための装置が活用されている。世界の企業や研究機関ではしかし、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、業務の継続が困難になっている。

都市封鎖や厳重な外出制限により、研究者らがラボに立ち入られず分析計測機器に触れられない。研究開発や品質管理に支障が出ている。装置の保守点検に従事するサービスエンジニアも顧客のラボを訪問し難い――が、コロナ禍の影響を受けているこれらのラボは、感染症対策で重要な役割を果たす治療薬やワクチン、消毒液、機能性食品などの開発拠点でもあるという(HPLC解説:日本分析機器工業会)。

島津製作所は、ラボ内の液体クロマトグラフの稼働状況をスマホやPCで確認できる遠隔管理用ソフトウェア「LabTotal Smart Service Net」および液体クロマトグラフ質量分析計(LCMS)の解析ソフトウェア「LabSolutions LCMS/Insight」を12月28日に発売した。低コストで導入可能な管理用ソフトはラボ内全LCの稼働状況をクラウドで管理。装置の異常や消耗品の減り具合と併せて、保守点検用ウェブのURLをメールで通知する。

対処方法を動画などで簡単に把握できるため、装置の稼働率向上とラボ業務の継続に役立つ。一方、解析ソフトはラボ外からの解析作業を可能にする。ソフトウェア2製品を通じて、「スマホでラボの装置状況をリアルタイムに把握」「出社せずに計測データを解析」といった研究者のニューノーマルを支援する。さきに発売した液体クロマトグラフ「i-Series」は、各種機能によって使用者の習熟度に関わらず安定したデータ採取を可能にしているという。

同社は、「コロナ禍での企業の研究開発の継続」および「研究者の在宅勤務・リモートワークなど柔軟な働き方」を実現していく構えだ。