自治体業務DX、LGWANとAI-OCRにて紙由来の作業をなくす

行政機関においてICT(情報通信技術)の徹底活用をめざす。日本では「デジタル庁」の新設方針が打ち出されていて、コロナ禍の拡大以前より、地方公共団体の庁内LANを相互接続する総合行政ネットワーク「LGWAN」が敷設されている。

LGWANは地方公共団体間コミュニケーションの円滑化、情報の共有と高度利用を目的とする、高次セキュリティを維持した行政専用網だ(地方公共団体情報システム機構より)。一方、自治体戦略2040構想研究会(総務省PDF)が「スマート自治体への転換」を提言している。いま、行政のデジタル化を推進するには取り扱う情報の機密性確保が不可欠であり、自治体ごとの新システム構築、対応工数や費用が課題になっているという。

愛知県は自治体業務のデジタル転換を推進するために、「あいちAI・ロボティクス連携共同研究会」を軸に、県内の市町村におけるLGWAN活用と先進的ICTサービスの共同利用を検討してきた。2020年末、AI inside日立システムズは、同県内の42団体に、紙帳票の手書き文字を高精度でデータ化するAI-OCRサービス「DX Suite」をLGWAN経由で共用可能な形として提供――各団体がこれを11月から運用しているとした。

機密性が確保されたLGWANを通じて利用できる。同サービスは、スキャナーで読み込んだ手書きの各種申請書類をアップロードすると、自治体システムに取り込み可能なCSV形式に変換できる。そのため、業務端末へのソフトウエアインストールも、各市町村で個別にシステムを構築することも不要になる。作成済みのひな型帳票定義が提供され、帳票の内容に差分がある場合でも、各自治体にて追加や削除などの修正が容易に行えるという。

両社は今後も連携し、さまざまな自治体における行政業務のスマート化、およびデジタルトランスフォーメーションの加速を支援していく構えだ。