低コストIoTシステムにて、ため池など水利施設をリモート監視する

ため池や河川、農業用水路などは重要な水利施設であり、風水害時に水位の迅速な把握が必要とされる。人の安全確保も求められ、一級河川や二級河川では機器管理型水位計の導入が進められているが、町や村の水利施設でその導入は難しい。

同水位計は高精度だが高額なため、農業用水路やため池には不向きである。小さな自治体では水管理が充分に行き届かない。課題を解決するための従来設備は、単体価格以外に、通信費用やデータの可視化アプリなど、運用コストがかさむことも導入障壁になっていたという。IIJは、ため池や用水路など水利施設の水位を遠隔監視・管理するセンサーおよび目視監視用静止画カメラを開発し、来年1月5日に発売する。

農業農村における情報通信環境の整備(令和3年度農水省予算)に取り組む自治体や、土地改良区向けだという。上記センサーやカメラは、省電力かつ広範囲通信が可能なLoRaWAN®に対応していて、無線基地局に複数センサーを接続して地域で共同利用する仕組みも提供される。これにより、農業農村地域での低コストな通信インフラの構築を支援する。

「用水路向け水位センサー」は水田用の技術を応用したもので、用水路の水位を60cmまで1cm単位で測定できる。台風や豪雨時にもリモートで、用水路の水位をスマホやタブレット等で確認でき、水温のデータも管理可能とする。単3型乾電池で約1年稼働する「ため池・河川向けフローティング式水位センサー」は水深10mまで、最大3段階までの水位を遠隔計測可能とする。

「作物や施設の目視監視向け静止画カメラ」は、定点観測できるLoRaWAN®カメラで、10分間隔で静止画を撮影し、画像を送信する。大容量データの送信に不向きな同無線技術において、データを超高圧縮し分割転送することで、画像送信を可能にした。通信費を抑えた目視監視を可能とし、用途に応じて暗視撮影や高解像度画像の撮影にも対応できる。