高度1万メートルを飛行する。機体を揺らすタービュランスに遭遇したパイロットは、揺れが収まり十分に安全が確保され次第、テキストデータ通信や無線によって揺れ情報を地上に報告している。
現行方式では、乱気流に遭遇してから地上に揺れ情報が報告されるまでに時間差が発生する。そこで、世界各国で飛行中の揺れ強度を渦消散率で測るEDR（参照IATA）の導入が検討されている。乱気流の指標EDRは、機載コンピュータの「EDR計算アルゴリズム」により自動算出され、即座に地上へ報告されるという。
JALとウェザーニューズは、航空機の揺れによる乗客および客室乗務員への影響を未然に防ぐための仕組みを共同で構築した。この仕組みはEDR計算技術を応用し、JALが本邦初開発した"リアルタイムに揺れの情報を地上に自動報告する仕組み"と、両社共同開発による"地上に報告された揺れ情報をAIを用いて迅速に処理して即、運航中の航空機に自動通知するシステム"を組み合わせることで実現された。
上記アルゴリズムには、運航乗務員の体感を揺れ情報に換算する処理手順も組み込まれている。これにより、地上に報告された「EDRによる揺れ情報」は、ウェザーニューズの運航管理支援システム「FOSTER-NEXTGEN」へリアルタイムに反映される。出発前の機長は、従来の手動報告による揺れ情報と、EDRによる揺れ情報を用いて、より安全な運航を提供するための検討が可能となる。
テキスト受信データを機械学習技術にて自動解読し、FOSTER-NEXTGEN上に表示する。新たな仕組みでは、一定以上の揺れが報告された場合、報告した航空機の位置と観測時間情報から、所定範囲内を通過中または通過する可能性のある航空機のパイロットに対して、自動で揺れ情報を通知。当該パイロットは揺れ情報を即時把握できるという。両社は今後も協力し、航空業界の安全対策に貢献していく構えだ。