農業DXシステムにて、緑地のCO2吸収量をリアルタイムに可視化

昨今の異常気象は温室効果ガスが原因だとされている。地球の温暖化を防ぎ止めるために近年、二酸化炭素(CO2)の排出量削減に向けた動きが世界的に加速している。環境経営を推進する企業では、光合成を盛んにする森林づくりや、事業所における緑化活動等が行われている。

そのような緑地におけるCO2の吸収量は、樹種や森林面積などをもとに概算値を年単位で算出することが多く、高い精度で常時あるいは即座に把握することが困難だったという。ソフトバンクは、YKKとともに今年11月、農業を科学的に支援するサービスすなわち農業AIブレーン「e-kakashi」のCO2吸収量推定システム(特許出願中)を活用して、緑地のCO2吸収量をリアルタイムに可視化する実証実験を開始した。

富山県黒部市で整備が進められている「YKKセンターパーク」で来年3月末まで実施予定だという。共同実験に用いられる上記システムでは、気象データとe-kakashiの各種センサーから取得する地温などの環境データに、独自のアルゴリズムを組み合わせて、芝生や森林などの緑地におけるCO2の吸収量を高精度に推定して見える化する。

当日から8日後までのCO2吸収量を推定でき、日量や過去の累積データをグラフやイラストで示す、システムの精度や有用性について、YKKセンターパークにe-kakashiを2セット設置して検証する。実験で可視化したデータを森づくりの成果測定や訴求などに活用する、YKKは、国内外の各拠点の緑地でもe-kakashi等のテクノロジを活用した取り組みを進めるなど、環境経営を一層強化していく。

同システムを多彩な環境配慮型企業・団体に展開していくソフトバンクとともに今般、小中学生向けに、緑地にてCO2を吸収する仕組みの理解や環境保全意識の育成に役立つワークショップ等を開催する――。両社は、地球温暖化防止へのさらなる貢献を目指していく構えだ。