がん患者の臨床アウトカム評価で法律に基づく医療ビッグデータを活用

海外ではすでに、日常診療における医師の診察記録などのリアルワールドデータ(RWD)の利活用が進んでいる。電子カルテデータに基づく臨床アウトカム(転帰)評価などから適応拡大がなされた薬剤も存在している。そこで日本でも――

平成29年に次世代医療基盤法(参考資料:官邸PDF)が公布、翌年に施行された。この法律は、国民の医療情報を先進的な研究開発に利活用し、健康長寿社会を実現するための、医療情報の利活用促進を目的としたものであり、「認定匿名加工医療情報作成事業者の認定」及び「認定医療情報等取扱受託事業者の認定」に関する申請受付について、首相官邸の健康・医療戦略推進本部Webにて情報開示されている。

今月14日、ファイザーライフデータイニシアティブNTTデータの3社は、より良い医療の提供を目標に、医療ビッグデータ活用の研究を進めるため、日本ではじめて、上記法律に基づく匿名加工医療情報提供に向けた契約を締結した。ライフデータイニシアティブは19年に「認定匿名加工医療情報作成事業者」、NTTデータは「認定医療情報等取扱受託事業者」として国から初の認定を得ている。

両社の事業では、レセプトデータ・DPC(診断群分類別包括評価)調査データに加え、電子カルテデータまで参照できる。そして今回締結された3社の契約では、次世代医療基盤法に基づいて得られた、日常診療における医師の診察記録などのRWDを基に――レセプトデータやDPC調査データから得られる情報だけでは困難とされる――治療の効果や安全性の臨床アウトカムを評価する方法論について研究するという。

がん患者に向けて上記方法論を確立することにより、個別化医療進展、医薬品アクセス早期化などに向けたエビデンスの創出が可能になると想定する。3社はRWD利活用の有用性を高め、医薬品をより適切な患者に届け、医薬品の価値を最大化し、医療に貢献することを目指す。