胸部CT画像の診断プロセスにAIを適用する

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により、医師や医療従事者への業務負担が一層深刻化している。医療機関においては、通常の健康診断等にとどまらず、COVID-19肺炎患者の重症度などを診断する際にも、胸部CT(コンピュータ断層撮影法)が用いられている。

世界的に画像診断医が不足している。日本ではJCRが19年に作成したチラシ(PDF資料)において、全国的にみると放射線科医の関与がある検査、すなわち専門医による読影および報告書作成は全体の半数のみだとして、各種弊害が指摘されている。そのような状況のなか、今年3月にはCOVID-19のパンデミックが宣言された。

いま、胸部CT画像の効率的な診断業務での活用が求められているという。NTTデータNTT東日本関東病院は今月7日、胸部CT画像を対象としたAI画像診断支援ソリューションのプロトタイプ検証を共同で開始。来年1月~3月末日、それを実際の診断プロセスに適用する本格検証を行う。同病院が保有している今年1年間の患者データ(胸部CT画像)を解析し、胸部全体の異常箇所をどの程度の精度で自動検出できるか実証する。

将来的に実際の診断業務に組み込むことでどの程度医師の負担削減になるか、組み込む際の課題の洗い出しも行う。両者は、今回の検証結果を踏まえ、実際の医師の診断業務においてAI画像診断ソリューションを用いた作業効率を向上させるための検討を進める。

第一段階として、肺を対象とした学習済みAI画像診断支援ソリューションのプロトタイプの業務適用を20年度~21年度にかけて計画していて、本格的な導入を22年度以降に考えている。現在のアルゴリズムは特定疾患を特定するものではない――が、上記検証の結果を踏まえ、いまだ猛威を振るっているCOVID-19などの特定疾患の特定も自動検出し、感染拡大予防および医療現場の負担削減を目指すという。