自律歩行ロボットを建設現場で活用する

労働力不足が深刻化している。日本では、建設現場におけるICT(情報通信技術)の全面的な活用などによって、建設生産システム全体の生産性向上を図り、もって魅力ある建設現場を目指す取り組みが進められている。

国交省が中心となって「i-Construction」が推進され、日建連からは平成28年の暮れに「10年後を見据えた建設業のあり方について」(同省PDF)の提言があり、35万人分の省人化実現を最優先課題として、IoTやAIなど最先端技術の活用で他産業と連携すること、そして、建設業を夢とやり甲斐のある誇りの持てる産業へと進化させることが目標だとしている。魅力ある建設業とすることについては、全中建も同意見である。

今月7日、竹中工務店竹中土木鹿島建設は、ソフトバンクおよびソフトバンクロボティクスの協力を得て、米Boston Dynamics社製の自律四足歩行ロボット「Spot」の建築・土木分野での実用化を共同研究していくことに合意した。Spotは階段や傾斜地に強く、障害物を自ら回避、環境への順応力もあるが、建設現場という複雑かつ厳しい条件下で活用するには、より多様な環境で歩行性能を検証・改善していく必要があるという。

Spotの確実な歩行を実現する通信環境の構築と、効果的な利用方法の探索に挑む。たとえば、リモートで現地の確認や作業員とのコミュニケーションを図る機能、自動巡回により現場の進捗の記録や点検を行う機能、各所を測量・記録して施工した建造物が図面通りにできているか確認する機能などの開発にも多くの試行錯誤が必要なことから、これらに共同で取り組むことが、Spotをいち早く実用化するための最善策と判断した。

3社は、現場の省人化に寄与する「多様な目的」の機能を搭載することで、Spotが建設業における協調領域の中で広く誰でも使える技術として、多くの建設現場で活用されることを目指すという。