全天候型の3Dデジタル地図を全世界に向けて展開する

高度成長期に集中整備された社会資本ストック(道路橋・トンネル・河川・下水道・港湾等)の老朽化が加速度的に進む。日本では近年、地球温暖化によると考えられる気候変動が大きく、それによる自然災害が増えている。

インフラ老朽化や自然災害への対応力強化を目的とした「国土強靭化」に官民をあげて取り組む中、リスク情報把握にかかる人手を削減したいとか、人が現地に入れないエリアや悪天候時であっても現況を把握したいといったニーズがあがっているという。NTTデータは、フィンランドの小型レーダー衛星会社ICEYEと業務提携し、衛星画像ソリューションへ新たに「全天候型地図情報提供サービス」を追加。今月4日に同サービスの販売を開始した。

光学衛星画像を利用した世界最高精度の全世界デジタル立体地図「AW3D®」を'14年から130カ国超へ提供してきた。光学衛星にまつわる――雲や煙に覆われた地上を撮影できず、更新頻度が少ないといった課題を解決する。同社の新サービスでは、ICEYEが複数運用する小型レーダー衛星の撮影データと、NTTデータが持つ高精度の画像解析技術を用いて、全天候下で全世界を対象として地図情報を抽出して提供する。

現在3機運用中で、10機に増やす予定(次年度計画)の上記レーダー衛星は、小型でありながら世界最高の50cm解像度を有し、車・船・鉄塔・建物等の詳細な情報の取得が可能。1日複数回日本上空を撮影し、高頻度で情報取得できるため、定常的なメンテナンス業務等への活用が期待される。

雲が多く光学衛星では撮影が難しい、山岳エリアや赤道付近でも、最新の状況が入手可能となる。全天候型地図情報提供サービスは、3D地図の「高解像度」「高位置精度」と、レーダー衛星の「高頻度」「高網羅性」により、定期的なインフラ企業の設備管理、山岳域における自然災害監視や土地利用の把握、災害発生時の状況把握などに貢献するという。