マルチテナント型物流施設で感染症対策、AI解析技術等を用いて

データ駆動型社会への道を進む日本では今、ネット通販・電子商取引(EC)市場が活況を呈している。市民生活を便利で豊かなものにし、ビジネスに革新をもたらす、それらの仕組みを支えているのはロジスティックスであり、物流施設である――が、コロナ禍は物流現場にも影響を与えている。

複数社が共用する物流施設に入居している企業は、感染症の拡大防止策をいかに講じられるか、課題を抱えているという。大和ハウス工業NTT Comは4日、マルチテナント型物流施設「DPL市川」にてAI映像解析ソリューション「COTOHA Takumi Eyes®」を活用し、物流施設で初めて(両社調べ)施設内に設置したカメラ映像から利用者のマスク着用の有無や、施設内のカフェテリアの混雑度を自動で検知する実証実験を開始する。

同ソリューションは防犯カメラ等の映像から、顔照合技術×全身照合技術によって、人物を検出・追跡するものであり、今回、コロナ禍を考慮し、マスク着用状態でも人物照合できる機能を追加した。これを応用することにより、カメラ映像から即時にマスク着用の有無を検知し、マスク不着用者に注意を促す「マスク検知機能」を新たに提供するという。

マスク検知機能と混雑度可視化機能とによって、「利用者のマスク着用を判定し、マスク着用推奨メッセージを表示」および「カフェテリアへの出入りの人数を測定し、滞在人数およびエリア別混雑度の可視化と入室を制限」を行う。撮像は2ヶ月間保存・利用した後に消去される。実証実験の結果を踏まえ、大和ハウス工業は一部のマルチテナント型物流施設に同ソリューションを標準採用することを検討する。

今後、両社は、サーマルカメラ連携による検温および発熱者の施設内における追跡、IoTプラットフォーム+各種センサーによる施設内の温度管理を行う仕組みの導入なども検討し、より安全・安心な物流施設の提供を目指していく構えだ。