スマートファクトリ、約5万点の生産データを1秒で蓄積・分析する

IT(情報技術)の浸透によって、さまざまな仕組みや人々の暮らしが便利かつ豊かになっていく。デジタルトランスフォーメーションの実現はいまや日本の中央省庁と地方自治体、ならびに産業界において、最も重要なこととなりつつある。

製造業では、働き方の変革、熟練技能者からの技術継承、各種業務の自動化などによる一層の省力化、品質維持のための適正な管理などが課題であり、これらの解決に向けたデジタル化の推進が始まっている――。当グループではこれまで、AIを用いた濾過計画業務やRPA(ソフトウェアロボット)による業務の自動化、多様化する消費者ニーズに合ったマーケティングのための共通プラットフォーム活用等、「デジタル変革」を行ってきたという。

キリンと、キリンビールキリンビバレッジNTTデータは、キリンビール滋賀工場とキリンビバレッジ滋賀工場において、1秒あたり約5万点の商品製造に関わる生産データを蓄積・分析するIoT基盤を開発し、今月より試験運用している。企業間・拠点間の情報活用プラットフォーム「iQuattro®」を使用した、同基盤では、工場内の多様な生産データ、センシングデータ、リアルタイム映像などを統合して扱うことができる。

製造現場におけるデータ収集、データ連携・蓄積、データ加工・分析、およびiQuattroとその他アプリの連携で統合的かつ工場内外からの可視化が実現できるという。同基盤を導入した上記二工場は、今回の試験運用にあわせて、一部手書きで運用していた現場の管理書類を、タブレットにてその場でデータ入力し、電子保存するよう、作業工程の見直しも行っている。

現場業務のリモート化と効率化ができ、各商品にあった製造計画の立案がより効果的に行えるようになるという。キリングループは同基盤を駆使して創出された時間で、さらなる品質向上に取り組み、高い品質管理レベルの製造体制を維持していく構えだ。