漁業DX、牡蠣の養殖場をロボティクスとローカル5Gで次世代型に

各種産業や社会のしくみがデジタルトランスフォーメーション(DX)されつつある――。現在、漁業分野においては、牡蠣養殖の斃死による生産低下が課題であり、養殖場の環境変化や牡蠣と競合する付着生物等の影響低減に向け、海中の可視化、環境データの取得が重要になっている。

海中の状況を広範囲にダイバーらで確認することは困難なため、ロボット(水中ドローン)の活用が期待されているという。瀬戸内の島々の課題を解決するため、総務省の令和2年度「地域課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」を受託した、レイヤーズ・コンサルティングは、NTTドコモ中国支社、NECネッツエスアイ東京大学大学院情報学環中尾研究室とともに、海中状況可視化システム構築の調査検討を開始する。

4者は、知見や保有技術を結集――。来年1月~2月の期間、広島県江田島市において、ローカル5Gを活用し、機能性能の異なる2機種の水中ドローンを使用し高精細映像伝送を行うことで、養殖場における海中状況を可視化し、センサーによる環境データの取得が可能なシステムを構築することで、地域課題解決に向けた取り組みを推進する。

陸上(遠隔地)からの水中ドローンの遠隔操作と海中の状況の可視化に関する実証と、水中ドローンで取得した高精細映像に海面養殖場及びその周辺の環境データ(水温や塩分濃度等)を組み合わせた殖漁場の環境分析に関する実証とを行い、技術実証としては、海上におけるローカル5Gの通信品質を確認し、エリア構築について考察するとともに、ローカル5Gとキャリア5Gの共用検討を実施する。

水中ドローン×ローカル5Gの海中状況可視化システムにより、「養殖する牡蠣の生育に影響を与える付着生物の状況」をリアルタイムに把握可能とする。結果として漁業従事者の労働環境の改善が実現し、牡蠣の海面養殖における生産性の低下に歯止めがかけられるという。