スマートファクトリに5G、人を笑顔にするDXの実現へ

日本の"ものづくり"現場においては、人手不足に起因する作業員の負担増や孤独感が、さらなる離職を招く、悪循環に陥っているとの声があがっている。そこで3か年のロードマップを策定し――

「Smart」と「Smile」の両面から各種機能の実装に取り組むことで、従業員が物理的にも心理的にも働きやすく、社会全体の幸福に寄与するような、工場発の「"人"中心のDX(デジタルトランスフォーメーション)」を実現するという。金沢工業大学北菱電興NTTドコモの3者は、5Gを活用したスマート工場「Smart Smile Factory(SSF)」を産学連携で整備し、今月12日に開設した。

北菱電興のいなほ工場にドコモの5Gエリアを整備し、実際に工場内で従業員が5Gを活用して業務にあたる。工場に関わるすべての人を幸せにするDXに向けて、生産機械効率化のための「Smart」と、従業員のモチベーション向上等のための「Smile」の各種機能を搭載する。SSFではまず、「Smile」の観点で「遠隔MR会議」と「バーチャル工場見学」の機能を実用化する。

「遠隔MR会議」では、工場の製造担当者と別拠点の設計担当者が設計図等の3DデータをMR空間上で共有し、遠隔の社員同士が顔を見ながら話すことで、社員間のコミュニケーションを活性化させる。「バーチャル工場見学」では、遠隔操縦ロボットの視界を5Gで伝送することで、製品発注企業のオフィス等から品質確認等を行えるようにする。コロナ禍でも、工場と発注元企業間の円滑なコミュニケーションを可能にする。

以降、「多視点による製造フロアの一元遠隔モニタリング」や「常時映像接続による拠点間交流空間の整備」、「無線での製造ライン構築」等の実施を予定している。SSFを活用した新たな教育プログラムの推進と人材育成も検討する。3者は、産業分野における5G時代のニューノーマルを協創していく構えだ。