WHOが新型コロナウイルス感染症（COVID-19）のパンデミックを宣言した。今年3月以降、街のシャットダウン等を経た後も、感染者数は増加の一途で、ジョンズホプキンス大学の統計によると11月には5,000万人を超えた。世界では人命を救う感染対策と経済・社会活動の両立が急務である。
コロナ禍にあって、人々は安全な距離を保ちながら、職場や学校、社会へ戻りたいと思っているという。ルネサスと米Altranは、超広帯域無線通信（UWB）を使用したソーシャルディスタンス測定用のウエアラブルプラットフォーム開発で協業する。マイコンのロードマップ拡充のため、ファブレス企業3db Accessからセキュアかつ低消費電力なUWBチップの技術ライセンスを得ることを2月に発表したルネサスは、今回その技術を使用する。
同プラットフォームに用いるUWBチップセットは、静電容量式タッチキー機能を搭載したRenesas Synergy™ S128 MCUと、3dbのセキュア測距用UWB技術を組み合わせたものであり、Bluetooth®LE等による他のウェアラブル機器とは異なり、LRP（低レートパルス）に対応している。10倍の低消費電力で動作し、10cm以下の精度で距離を測定できるため、ソーシャルディスタンスの維持に必要な精度を実現する。
試作中のリストウォッチは、ユーザが安全な距離を設定可能であり、安全な距離より近づくと、LEDと振動でユーザに警告を与えるという。ルネサスは測距用UWBチップセットのサンプル提供を21年後半に始める。一方、アルトランはUWBベースのプラットフォームなどを活用して、幅広い分野で社会的距離を保つウエアラブルソリューションや位置情報ベースのアプリを開発していく――
ソーシャルディスタンスを保つために試作したリストウォッチは、アルトランのイノベーションラボに展示される。