人工知能によって暗渠の異常を判定、点検作業の効率アップを実現

まちの地下には暗渠(あんきょ)がある。○○橋という交差点近くではかつての農業用水路がコンクリート板で覆われていたり、雨に流される枯れ葉の先では排水溝が歩道下を走っていたり、さらに深いところには、われわれの文化的生活と産業を支えてくれている下水道が、縦横に張り巡らされてある。

膨大な量の下水道管渠を適切に維持管理するため、調査や点検の効率的な実施が求められている。その会社では、点検日進量の向上を図るため、現場においては撮影作業に専念し、事務所において目視による撮影画像の異常判定を行う技術を導入している――が、点検業務が増えるとともに事務所での作業が逼迫していたという。

JSOLは、管清工業ととともに、人工知能(AI)ベースの画像認識技術を活用したしくみによって、下水道管渠の異常判定作業の効率化を実現した。昨年初旬より両社は共同して今回のソリューションの実証実験(PoC)を行ってきた。そして業務で適用できる目途が立ったため、今年12月から、管清工業の全国の支店において、実際の業務運用の中で、AI画像認識システムが活用されることになった。

日本マイクロソフト提供クラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」のAzure Cognitive Servicesを活用することで、AIによる画像認識システムを構築し、管清工業に提供したという。JSOLでは、Cognitive Serviceの事前学習済みのAI機能を活用することで、初期学習の負担を軽減。それと同時に機能の使い方を工夫することで、検査者が見るべき箇所をガイドできるようにした。

検査者の意見を反映し、検査を効率的に行えるユーザーインターフェースの開発もした――動画や写真を使いAIによる画像認識で目視点検業務を効率化したい企業が多数存在すると考える――JSOLは、このたびのソリューションを汎用サービス化していく構えだ。