エンタープライズIT、市場規模は微減しても企業は投資へ

法人が利用するITハードウェア、ソフトウェアおよびサービスについて、19年度は既存システムの刷新/更新、Windows7からWindows10への移行、消費増税前の駆け込み及び税率変更対応、元号改正特需などがあり、それらへの投資は堅調に推移した。

DX(デジタルトランスフォーメーション)は大企業を中心に活発化しつつあるが、中堅・中小企業ではそうでもないのが現状だという。矢野経済研究所は今月9日、2020年度のエンタープライズIT投資実態と今後の動向について、今年7月~10月国内565社に行った記名式アンケートと、文献調査を併用した結果を公表した。

法人向けアンケートでは、コロナ禍の影響を受けたIT投資の方向性の変化について尋ね、512件の回答を得た。各設問項目について、「大きく増加」「やや増加」「変わらない」「やや減少」「大きく減少」のうち1つを必ず選択する方式でとった。結果、「働き方改革」に向けたIT投資の方向性が「大きく増加」「やや増加」との回答が合計60.2%で、最も高い割合となった。

今年2月以降、ノートPCやWeb会議システムの需要が急拡大した。コロナ禍により、今後も働き方改革に向けたIT投資が進むだろう。20年度、コロナの影響でIT投資計画の先送り/見送りなどマイナスの要因が生じている一方、テレワークの設備投資が好調であり、大企業のシステム刷新/更改が概ね予定通りなどプラス要因もある。市場規模は前年度比横ばい程度になると予測する。

21年度は不要不急のシステム/サービスの先送り/見送りなど、企業のIT投資が縮小傾向で、市場規模は前年度比4.3%減の12兆3,500億円になると予測。そして22年度以降、世界経済が立ち直り始め、5Gの本格普及が進み、DXの進展やセキュリティの強化などがあり、市場は緩やかに成長していくだろうという。詳細は同社の調査レポートで確認できる。