メガビット級の組合せ最適化問題、新たな並列探索技術で解く

およそあらゆる仕組みのデジタルトランスフォーメーション(DX)が進められている。近年、実社会における課題について、様々な要因の組合せの中から最適な解をより早く見つけ出したいというニーズが、製造や物流、災害対策、新薬開発などの分野で高まりつつある。

多品種少量生産の現場にて、部品ごとに異なる複雑な製造工程を各リソースや納期を考慮して工場全体でスケジューリングする、生産効率アップに向けた大規模な最適化が必要とされている。物流分野では配送計画において、県域規模の最適化だけでなく、全国規模の計画立案が求められている。これら1Mbit規模の組合せ最適化問題では、計算量が爆発的に増えるため、限られた時間の中で有効な解を得ることは困難だったという。

富士通研究所は、トロント大学と共同で、組合せ最適化問題を高速に解く富士通の新アーキテクチャー「デジタルアニーラ」において、メガビット級の大規模問題に対応する新たな並列探索技術を開発した。FUJITSU Digital Annealer クラウドサービスの適用が様々な分野で進むにつれ、さらなる大規模化のニーズが高まっているため、同アーキテクチャを拡張したという。

「大規模向け適応的並列探索技術」「複数サーバ並列での協調探索技術」を備えたデジタルアニーラにて、実際、多品種少量のサーバ生産スケジュールを決定する問題(作業数100、設備数12、作業者数13、時間スロット65の設定で、総計1,014,000bit)を求解した結果、複雑な制約条件を満足して作業順序や設備利用時間に適切な人員が割当られた。

即ち、1Mbit級の実用問題の求解の成功が確認できたという。同研究所は、今回開発した技術を、中分子の新薬開発、全国規模の輸配送計画、都市圏の交通渋滞の解消、ニューノーマル時代に適したワークシフト計画など、実社会の様々な大規模組合せ最適化問題に適用していく考えだ。