複数銀行で日々の取引データをもとにAIが与信審査

金融×ITによるFinTechにおいて、トランザクション・レンディングという新しい融資形態がある。それは、主に財務情報をもとに借入条件(借入可能額および借入利率)を決定する従来形と違い、日々の取引データをもとに借入条件を決定するものである。

そこで昨年10月より、住宅ローン向けAI審査サービスの取り組みを通じて、地域金融機関などにおけるトランザクション・レンディングの利用ニーズを確認し、複数銀行の取引データの活用と審査精度等の検証を推進してきた。住信SBIネット銀行日立が共同出資するDayta Consultingは今月6日、コンソーシアム(集団参加)型AI審査モデルを新たに開発したと発表した。

東邦銀行愛媛銀行、住信SBIネット銀行などで同モデルの開発に向けたPoC(概念実証)を今年3月に開始。複数行のデータを活用するAI審査モデルの構築に取り組んできた。同社は、稀な事象の発生を予測する日立の「Hitachi AI Technology/Prediction of Rare Case」と、住信SBIネット銀行のデータハンドリング技術・ノウハウとを組み合わせ、住宅ローンを対象とした革新的なAI審査サービスを開発・提供してきたという。

今回新たに構築したコンソーシアム型AI審査モデルは、複数行の参加によって、豊富かつ多様なデータをAIに学習させられるため、債務不履行となるデータの特徴を高精度に捉えてその確率の推計を可能とする。融資に伴うリスクを精緻に把握でき、融資判断の迅速化と信用コストの制御を実現――。より多くの融資引き受けに寄与する。

参加行を拡充しながら、AI審査サービスの本格的な提供開始を目指していっそう検証を進めていくという。同社は今後さらに、その対象範囲を法人向けトランザクション・レンディングに拡大し、地域創生への取り組みや業務効率化等を支援していく考えだ。