日本のモバイル・ネットワーク・エクスペリエンス分析報告~Opensignalがオンライン会見で解説

ワイヤレス業界で最大の規模と頻度で全世界のモバイル・ネットワーク・エクスペリエンスを分析する Opensignal(本社:ロンドン)は、最新結果の分析報告書の公開に伴い、10月16日に「2020年10月―日本におけるモバイルネットワークエクスペリエンスの現状についての調査報告書」に関するオンライン会見を開催した。
OPENSIGNAL Japan Mobile Experience

Opensignalが2020年6月1日~8月29日の期間にわたり、日本市場のモバイル・ネットワーク・エクスペリエンスの実態調査を行い、その最新調査結果がこのほど公開された。Opensignalは独立系モバイル分析会社であり、実際のユーザー・エクスペリエンスの測定に基づいて世界のモバイル・ネットワークの実情について理解する為のグローバル・スタンダードとなっている。世界中で一億台以上のデバイスから毎日収集された数十億の測定値を使用して、ワイヤレス業界で最大の規模と頻度で全世界のモバイル・ネットワーク・エクスペリエンスを分析している。つまり、ユーザーの体感そのものデータを解析、分析レポートとして発表し、ユーザーのスマホ利用の見える化を実現している。各国の監督官庁で多数の採用実績があり、アナリストや各業界、コンシューマに高い影響をもたらしてもいる。

約90日間にわたって行われた日本における今回の調査は合計254,883のデバイスから集計し、合計3,346,924,826もの測定数値から分析された。ユーザー体感をこれまで通り「スピード&遅延」「4G利用率」「音声体感」「ビデオ体感」の観点から分析し、今回から「ゲーム体感」も加わった。さらに対象の事業者はこれまで通りNTTドコモ、ソフトバンク、auと今回から4月8日から運用し始めた楽天が加わった。

Mobile Experience Awards, Japan
Mr. Ian Fogg

分析結果についてオンライン会見に出席したOpensignal分析担当バイスプレジデントのIan Foggは「日本の事業者はほぼ完璧な4G利用率のスコアを有している」と述べた。日本の4Gユーザーが4G技術に接続されて費やす時間や4G利用率はほぼ100%。Opensignalの4G利用率賞を獲得するauは99.3%という圧倒的なスコアを示し、他の事業者も97.8%のハイスコアをマークした。「非スタンドアロン・アクセス」技術を使う現在の5Gサービスは、5Gスマートフォンが5Gの電波に接続するために4G接続が続く必要があるため、4Gは引き続き重要であることも解説された。

また楽天はアップロード・スピード・エクスペリエンス賞を獲得。ソフトバンクが9.9Mbps、ドコモが9.5Mbps、そして、auが8.3Mbpsであったのに対し、楽天は11.8Mbpsのアップロード・スピードを記録し、定評のある3事業者を上回った。新規事業者がOpensignal賞を獲得するのは、異例のこと。

NTTドコモは4月のレポートに続いてダウンロード・スピード・エクスペリエンス賞を固持した。52.3Mbpのスピードを記録し、2位のauの48.8Mbpsを上回った。新規参入の楽天は21.6Mbpsと遅れ、3位のソフトバンクは42.7Mbpsのスピードで若干遅れていた。

Download and Upload Speed Experience

ソフトバンクは最強のビデオ・エクスペリエンス賞を再び獲得した。79.1のスコアを持つソフトバンクはドコモとauを出し抜いたが、前回のレポート以来、その差は縮まっている。またソフトバンクはゲーム・エクスペリエンス賞と音声アプリ・エクスペリエンス賞も獲得した。今回初めて日本におけるマルチプレイヤー・モバイル・ゲーム・エクスペリエンスを比較し、ソフトバンクが1位を獲得するもその競争は接戦でもある。

Video Experience
Game Experience

一方、世界100か国の比較分析では、アメリカはビデオ・エクスペリエンスが遅く、カナダはダウンロード・スピード・エクスペリエンスにおいて韓国を抜いて早いことがわかった。日本はダウンロード・スピードに関しては100か国中4位、ビデオ・エクスペリエンスは6位の好成績だった。また4Gに関して100か国中、日本が1位を獲得した。

最後にOpensignalのFoggは「日本は世界的に優秀で。ソフトバンクは音声アプリ・エクスペリエンスで世界1位、auは4Gで世界1位と、日本の事業者はすべてのカテゴリーにおいて上位に入っている。今回、楽天が初登場となるもアップロード・スピード・エクスペリエンスでトップを獲得したのは実に素晴らしいことだ。全体的に言えることはスピード検証するうえでモバイル、音声、ビデオを別々にみていくことが重要である。トップを獲得する事業者が異なるからだ。膨大な量の生データを収集、分析することでそれがわかる」と述べ、会を締めくくった。

日本におけるモバイルネットワークエクスペリエンスの現状についての調査報告書は、以下リンクにて確認できる。

出典:Japan モバイル・ネットワーク・ユーザー体感レポート 2020年10月
https://www.opensignal.com/jp/reports/2020/10/japan/mobile-network-experience