皮膚深部と表層の血流情報をいっぺんに検出して――

直径数十~数百μmの血管と10μm未満の極めて微細な毛細血管による密なネットワークが形成されている。皮膚に流れる血液には熱、栄養、水分や酸素などを運び、不要となったものを回収する役割がある。

皮膚深部の太い血管と皮膚表層に存在する毛細血管では、その主な役割や血流の作用特性が違う。この違いは肌状態とも密接に関わっていると考えられる。深さの異なる血流情報を取得するには、複数の機器を組み合わせなければならず、血流は常に変動するため、同一部位の情報を同時に取得することはこれまで困難だったという。

花王のスキンケア研究所は、マイクロスコープ血管画像の自動抽出技術を用いて、皮膚深部の血管と毛細血管の血流情報が同時に検出できることを見いだした。同社は昨年、皮膚の毛細血管の血流変化を特異的に抽出・定量する画像解析技術を構築(19年8月ニュースリリース)――肌画像をヘモグロビン・メラニン・陰影の各成分に分割し、ヘモグロビン成分画像にフィルタ処理・ノイズ除去を施し、毛細血管のみを抽出することを可能にした。

ヘモグロビン成分画像に、マイクロスコープで撮影可能な範囲の皮膚の血管情報がすべて含まれていることに着目した。スキンケア研究所は今回、同画像の輝度値を積算することで、画像に写る肌全体の血流量を推定できると考えた。画像中の毛細血管の割合は数%程度であることから、ヘモグロビン成分画像は主に深部血流量を示しているとして、ひとつの肌画像から毛細血管と皮膚全体の血流情報を同時に取得することに成功した。

非侵襲で簡便な血管の画像解析手法を発展させることで、異なる深さの皮膚血流と肌性状の関係性や、さまざまなアプローチによる血行促進作用をより幅広く調べられるという。研究成果の一部は「Skin Research and Technology」に掲載され、その画像が同誌アディショナルカバーに採択されたとのことだ。