売掛照合作業をデジタル変革、AIハイブリッドモデルにて

食品流通業界においては、多数の取引先と膨大な取引データのやり取りが必要だ。その取引データは取引先ごとに異なり標準化されておらず、伝票番号等の一意な情報で結び付けられないケースがある。そのため長年、手作業での照合による、人手不足や人的ミスなどが課題になっていたという。

三菱食品富士通は、売掛照合業務を効率化するAIを共同で開発し、そのパイロット運用を11月16日から行う。これまで自社請求電子データと得意先支払電子データを照合する際に上記ケースが発生すると、三菱食品の財務経理業務職員が手作業で行っていた――月に1,000時間以上費やしていた売掛照合作業を、正確性と高速性を両立し、運用性・保守性を大幅に向上するAIハイブリッドモデルで効率化する。

そのために両社は、6百万件に及ぶ取引データを分析し、現場の意見を取り入れながら検証と改善を今年3月から繰り返した。結果、財務経理業務職員の暗黙知を抽出し、過去の照合実績データを学習することで、照合結果を提示する「売掛照合AI」の開発に成功した。これにより、手作業の照合時間のうち数百時間を削減できる見込みであり、経験の浅い財務経理業務職員でも、照合誤りなどの人的ミスの削減が可能だという。

同様の技術を用いて開発した"買掛照合AI"を6月に本稼働させて、月に2,000時間以上かかっていた照合手作業のうち、数百時間の削減を達成済みである。来年4月からは「売掛照合AI」によって、売買に関わる照合業務全体で月に約1,000時間削減するという。

三菱食品は、安心安全な商品を顧客小売業や消費者に競争力を以って供給する社会的使命を果たすべく、先んじてデジタル技術を活用した業務改革を進めている。一方、富士通は、今後もAIなどの先端テクノロジーと業務ノウハウを活用して、食品流通業界をはじめとする企業や社会のさらなるデジタルトランスフォーメーションを牽引していく。