デジタルID基盤を教務窓口化、各種証明書のオンライン発行等を実証

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大によって、さまざまな仕組みや様式が変革しつつある。現在、日本の各大学では授業や各種窓口での手続きのオンライン化が進み、在学生および卒業生への各種証明書等の発行手続もオンラインで完結できる仕組みが求められているという。

慶應義塾ITC慶應義塾大学SFC研究所ブロックチェーン・ラボは、CTCJapan Digital DesignJCBNTT西日本およびBlockBaseと共同で、慶應義塾大学の学生を対象に在学証明書や卒業見込証明書などをスマホアプリへ発行する、次世代デジタルアイデンティティ基盤の実証実験をマイクロソフトCorp.と連携して今月より行う。

教務窓口で身分証明書の提示や書面手続きを行わず、オンラインで各種証明書を入手可能とする同基盤について、機能や標準化などを検証する。個人の各種属性に加え、卒業証明書・研修修了証などのデータをオンラインで確実に検証可能とするため、国際標準化が進む汎用デジタル証明書技術(VC)、および非中央集権型識別子(DID)を活用する。

今回の実証実験では、学生にスマホアプリで卒業見込証明を発行し、採用企業に成績証明書や卒業見込証明書を提供することや、転校・編入に伴う地域と国をまたいだ大学間の情報連携も考慮している。国際的な標準仕様への適合と相互運用を実現することで、オンライン授業で受講生の本人確認が円滑になるうえ、学生の取得単位についての大学間の情報伝達といった手間を削減できるという。

オンラインショッピング決済や定期券購入といった商用システムとの連携による学生割引の適用など、学生の利便性向上もめざしている。大学より発行された永続性のあるデジタルIDが一般的に検証可能となれば、信用情報や迅速な本人確認を要する金融・ヘルスケア、政府サービスなどの分野でもビジネスの広がりが期待できるとのことだ。