実際の分娩はしかし、予定日から数日前後することが多い。深夜から早朝に及ぶ場合もあるため、分娩事故を防ぐ努力そのものが、農家にとっての大きな負担になっているのが現状だという。デザミスと、NTTテクノクロスは、乳用牛および肉用繁殖牛の分娩兆候を検知するアルゴリズムを共同開発した。これを牛の行動モニタリングシステム「U-motion®」のオプション――分娩アラート・サービスとして、今月14日より肉用牛繁殖農家に提供する。
乳用牛向けのそれも順次提供開始予定だという。「分娩アラート」は、日本初となる、牛の尻尾から取得する加速度と気圧のデータで分娩兆候を検知する。アルゴリズム(特許出願中)が分娩兆候を検知すると、牛番号・牛舎番号などの個体情報をEメールで通知する。農場から離れた場所からも分娩予定の牛の行動を確認することができ、さらに、アラートが出た牛を優先的に対応することで分娩事故のリスクを減らすことが可能になるという。
デザミスが提供しているU-motion®は、ICT(情報通信技術)、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)などの技術を活用して牛の行動をリアルタイムにモニタリングするサービスであり、牛に装着した専用センサが、採食、飲水、起立、横臥、歩行、反芻などの行動データを24時間収集し続ける。集積したビッグデータをAIで解析し、アラート機能や台帳機能として提供する。
効率的な農場経営をサポートする。U-motion®を一層進化させた両社は、労働力不足などの社会的課題を抱える農業を、これからもデジタルトランスフォーメーションしていく構えだ。