発熱スクリーニングを自動化、院内感染のリスク低減へ

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査陽性者数が下がりきらない。日本国内においては、病院や高齢者福祉施設での集団感染リスクがいまも続いていて、それが宿年の重要課題である人手不足と重なり、医療サービス等にICT(情報通信技術)を活用することが待ったなしである。

医療介護現場でのリスク対策の省人化が不可欠となっている。そこでCOVID-19パンデミック対応に伴う人手不足解消と、医療の質向上とを進める、病院と共同してICT活用ソリューションを開発する運びになったという。CECは、静岡県立こども病院愛仁会千船病院と連携し、11月末を目標に各病院と「非接触型サーモグラフィカメラによる発熱スクリーニングの自動化」に関する実証実験に取り組んでいる。

同社と各病院は、医療介護現場のリスク対策・省力化ソリューションの共同研究開発を6月に開始。この取り組みの第一弾として、サーモグラフィカメラと顔認証技術を組み合わせ、非接触で任意の体温(体表面温度)を即時検知し、発熱者の特定・病院関係者への情報共有(通知)を自動化するしくみの実現――スクリーニングの省人化による医療現場の業務負荷および感染リスクの低減を目指している。

入館時に検温し、計測後に管理用システムへ各種情報を集約・蓄積する。実証期間中、計測データ(病院スタッフおよび患者の数、日次、月次の計測量、値など)を出力し、感染リスクの予防に向けた検証を行い、その有効性を確認する。

各病院の実証結果をもとに、病院・高齢者福祉施設向け発熱スクリーニングサービスの提供を予定している。CECは今後、人起因のリスクに対応するセキュリティ対策を軸に、職員の負担軽減とタスクシフティング推進にも効果を発揮するICTサービス(離院対策・問題行動対策・勤怠管理や入退室管理との連携)を順次開発し、全国の医療機関での実証実験および展開を推進していく考えだ。