産学官連携、急な坂道が多い地域で乗合型移送サービスを実証

約10年前から超高齢化社会となったこの国では、都市部においても新たな課題が生まれている。その一つが交通に関するもので、かつて憧れであった丘の上のエレガントな住宅街などはいま、交通弱者にとって不便なところとなりつつある。

急勾配な坂道が多いとか、バス停や鉄道駅へのアクセスが容易でないといった地域の交通課題を解決するため、2018年より、京急電鉄横浜国立大学横浜市とともに、同市金沢区富岡エリアにおいて、新しい交通システムの構築研究プロジェクトを実施――。これまで電動小型低速車による移動手段の実証実験を行い、さらに「路線定期運行」と「フリーエリア運行」といった運行ルート別の交通システムの在り方について検証を重ねてきた。

そして今秋、上記プロジェクトに日産自動車が参画する。10月11日より、4者は富岡エリアにおいて「乗合型移送サービスの実証実験」を行う(参考資料:日産グローバルサイトPDF)。今年度、新しい交通システムにおける「路線定期運行」では、過去の実証実験で利用者からあがった「より広範囲で利用したい」「さまざまな場所から乗車したい」といった声に応え、「対象エリアの拡大」と「手挙げによる路線上での自由乗降」を追加。

また「フリーエリア運行」では、「地域の移動ニーズに合ったエリア設計が必要」「前日予約が必要なので急な移動に使えない」といった意見を反映して、「京急富岡駅・能見台駅や京急ストア能見台店などと接続し地域の移動ニーズに合わせたエリア設計」、「最短当日15分前(電話予約は最短当日60分前)まで配車予約可能」を実現し、利便性を大幅に向上させる。

今月1日に開設した専用サイト「TOMIOCART」で利用登録すると誰でも参加できる。新交通システムの実証は無償実験(10月~12月)、有償実験('21年1月中旬以降)の2段階で行うという。4者はその後の事業化に向けた検証も予定している。