石炭火力発電所の燃焼排ガスからCO2を分離し回収する

地球温暖化が万国共通の課題となっている。現在、工場などから排出されるCO2はその要因だとされていて、それを回収・有効利用・貯留(CCUS)する技術および仕組みづくりが急がれている。

「革新的環境イノベーション戦略」(官邸PDF資料)にうたわれている"CCUS"の導入を促進し、低炭素社会を実現するためには、排ガス中のCO2をより省エネルギーで分離・回収する技術の確立・適用が求められている。なかでも固体吸収法は、従来の技術よりもCO2分離に要するエネルギーを大幅に低減できる可能性があるため、次世代の分離・回収技術として期待されているという。

川崎重工地球環境産業技術研究機構(RITE)は、関西電力と、省エネルギー型CO2分離・回収システムのパイロットスケール試験設備(40トン-CO2/日 規模)を関電舞鶴発電所内に建設し、'22年度から石炭燃焼排ガス中のCO2分離・回収試験を開始する。NEDOの「先進的二酸化炭素固体吸収材の石炭燃焼排ガス適用性研究」の採択をうけた両社が、関電の協力を得ながら、'24年度までこれを行う予定である。

'15年度からの経産省委託事業「二酸化炭素回収技術実用化研究事業」('18年度NEDOに移管)において、固体吸収材とKCC(Kawasaki CO2 Capture)移動層システムの開発・改良により上記システムの性能向上と大型化の目途をつけた。今回、パイロットスケール試験設備では、川崎重工が設計・建設を行い、RITEが開発した固体吸収材を用いて連続運転試験を実施する。

将来の社会実装を見据えて、石炭火力発電所に設置した場合の信頼性と運用性、経済性の評価を関西電力協力のもと実施していく計画だという。川崎重工とRITEは、省エネルギー型二酸化炭素分離・回収システムの石炭火力発電所における実証試験を重要なステップとしながら、低炭素社会の実現に貢献していく構えだ。