実証、国税庁・税務署による預貯金等照会をデジタル化

適正かつ公平な課税・徴収を旨とする。国税局や税務署が納税者(自然人・法人・組合等)の財産を評価する際、金融機関へそれを行う。預貯金等照会は、全て紙ベースであるため、金融機関側では開封・仕分け、作成した回答書類を紙出力し郵送するといった業務負担が生じている。

国税局・税務署でも、郵送されてきた回答書類の開封・仕分け・保管等に人手と時間を要する。アナログ・前時代的な課題に対して、国税庁は令和元年に「税務行政の将来像」を提示。"納税者の利便性の向上"と"課税・徴収の効率化・高度化"を柱とするスマート税務行政の実現に向けて、税務手続きのデジタル化、最新ICT(情報通信技術)活用による国税情報システムの新機能追加と最適化を進めている(参照:同庁PDF)。

国税庁が10月~12月に実施する預貯金等照会業務のデジタル化に向けた実証実験において、NTTデータは、行政機関と金融機関をつなぐ「pipitLINQ®」サービスを提供する。対象は東京国税局仙台国税局神奈川県管内税務署福島県管内税務署であり、東邦銀行、横浜銀行、福島銀行、ゆうちょ銀行が協力する。

今回、預貯金等照会業務のデジタル転換を見据え、国税局・税務署と金融機関間の照会を電子データで行い、業務効率化効果およびデジタル化に対応した事務フローの環境テスト等を検証する。国税庁は電子データによる預貯金等照会業務の実施、想定した運用手順の妥当性確認、デジタル化後の運用課題を抽出するなどして、金融機関は預貯金等照会へ回答を「pipitLINQ」上で実施する。

東邦銀行、横浜銀行、福島銀行は既に同サービスを本番稼働していて、ゆうちょ銀行は'22年1月以降の本格稼働を検討しているという。NTTデータは、全国の行政・金融機関へ「pipitLINQ」参画を呼びかけ、継続的なサービス拡充も行うことで、行政手続きのデジタル化の実現に一層貢献していく構えだ。