水素社会の実現に向けて、Power-to-Gas技術開発を強化

太陽光や風力などの再生可能エネルギーは自然そのものである。導入が拡大すると、電力の需給バランスを調整するための出力制御の機会が増加する。出力制御を抑えつつ再エネによる電力を有効活用するには、"Power-to-Gas"(水素を用いたエネルギー貯蔵・利用)が力を発揮する。

日本政府が'17年末に公表した「水素基本戦略」(PDF)には、大規模で長期間の貯蔵を可能とするPower-to-Gasの必要性が示されている。水素を用いたエネルギー貯蔵・利用を効率的に進めるためには、出力変動の大きい再エネを最大限活用するための電力系統需給バランス調整機能(ディマンドリスポンス)に加えて、水素需給予測に基づいたシステムの最適運用機能の確立が必須となる。

そこで、NEDOとともに、水素社会を実現するための技術開発事業に取り組んでいる。今年3月に開所した「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」では、世界最大規模の10MW級水素製造装置を活用し、電力系統における需給バランスの調整に貢献することで、蓄電池を使わずに出力変動の大きい再エネの電力を最大限利用するとともに、クリーンで低コストの水素製造技術の確立を目指してきたという。

東芝エネルギーシステムズ東北電力岩谷産業は、東北電力ネットワーク旭化成を加えた5社で、NEDOの水素社会構築技術開発事業/水素エネルギーシステム技術開発/再エネ利用水素システムの事業モデル構築と大規模実証に係る技術開発において、この事業のさらなる拡充・強化を目的に、同機構と、プロジェクト期間を2023年2月末まで延長した委託契約を締結した。

5社は、水素の利用拡大に向けた技術開発を推進し、水素エネルギー運用システムの最適運用を行うことで、2030年以降の持続可能なPower-to-Gas事業モデルの商用化を見据えた、再エネ利用拡大への各種取り組みを推進していく構えだ。