そこで必要となる、高品質で効率的な治験関連文書の作成は、製薬企業共通の課題になっているという。中外製薬とNTTデータは、AI(人工知能)技術を活用した治験関連文書の作成効率化ソリューションの実証実験を今年1月~6月に実施――。同ソリューションのプロトタイプを用いてコンセプト検証を行い、その有用性の評価およびシステム課題の抽出ができたと今月9日に発表した。
新薬の開発加速を支援するため、広範な治験プロセスを最先端IT(情報技術)でつなぐ製薬企業・医療機関横断型の治験トータルソリューションプラットフォームの開発を進めている。一方、「CHUGAI DIGITAL VISION 2030」の基本戦略の1つにバリューチェーンの効率化を掲げ、治験プロセスのさらなる加速を目指している。両社が共同実証した。
今回のしくみは、上記プラットフォームの1つとして、治験実施計画書をインプット情報としてさまざまな治験関連文書――患者用の同意説明文書、統計解析計画書、患者の治験データを入力する症例報告書、治験結果をまとめた総括報告書など――を、AIやオントロジー(知識表現・概念体系データモデル)/セマンティック(意味のあるデータ化)などの技術要素を活用して連鎖的・網羅的に生成できるようにするものだという。
承認申請に至るまでさまざまな文書の作成や多くの手順が必要となる治験業務において、文書作成に係るプロセスの効率化を目指す。同ソリューションを'21年度中に商用サービス化する予定のNTTデータは、臨床開発業務DXで中外製薬と協働し、新薬開発の効率化に向けた仕組みづくりに貢献していく構えだ。