ものづくり現場の重要設備等へ、IoTセンサ連動型の保険を

あらゆるモノがネットにつながる「IoT」技術が進展している。昨今、製造業でも工場内のIoTセンシングが進んでいて、スマート化に取り組む企業があるものの、導入費用対効果や現場実効性への不安などが阻害要因となっていて、先端技術を十分に活用している企業はまだ限定的だ。

財務省のPDF資料「財務局調査による『先端技術(IoT、AI等)の活用状況』について」にそのような現状が描かれている。国内企業のICT利用動向、IoT導入率と予定(参考:総務省開示PDF)を踏まえると、今後さらに欧米企業に遅れをとることが懸念される。日本企業のIoT導入を後押ししていくことは、国際競争力の維持・向上を図るうえで、これからますます重要になっていくだろうという。

アルプスアルパイン損保ジャパンは、業界・団体の垣根を超えて機器やサービスを連携可能とするIoTプラットフォーム「ifLink」を活用し、IoTセンサ連動型の保険商品の共同開発を行っている。かたやセンシング技術に強みを持ち、自動車・民生市場に多種多様なセンサを送り出してきた。かたや各種IoTセンサを活用し、工場設備等の故障予兆検知とそれに起因する費用損害を補償できる保険商品の開発を進めてきた。

両社が製造業のIoT導入促進に向けた共創を開始――。8月からの実証実験において、重要設備を軸に各種センサから得られる稼働状況データを分析することにより、稼働ステータスに応じた工場ごとの最適な保険設計に繋げる。そして、センサから得られるデータを活用した故障予兆の把握と、その際に発生する修理等の対応費用を補償できる保険の開発を進め、'21年度内のリリースを目指す。

開発中の保険商品のユーザー利便性向上の観点で、両社は、ifLinkを活用したスキーム(予兆検知時に自動で保守員が駆けつけその対応費用を保険金で補償するしくみ)構築の可否についても検討を進めていくという。