新冷媒R1224ydによるDC内冷却システム、空調消費電力を半減

SNSなどが普及しているうえに、社会・産業のしくみのデジタル転換が加速している。近年、様々なICT(情報通信技術)サービスのバックボーンであり、膨大かつ多様な情報の受け皿でもあるデータセンター(DC)は、その重要性と市場が拡大し続けている。

DC市場の年間成長率は10%以上とFrost&Sullivanが'19年に分析――。日本ではNEDOが、平成30年現在のDCにおける消費電力は世界の全消費電力の2%を占め、国内は首都圏で全消費電力の12%がDCで消費されていて、DCの消費電力の65%程度は情報機器、30%程度は空調機器が占めるとしている(同機構PDF資料より)。

DCにおける冷却効率向上策として、一般的には、熱源(ICT機器)付近で冷却する構成と手法が良しとされているが、配管が容易な水冷システムによる局所空調では、受熱部機器が大きいため後付け設置が困難であった。従来、冷媒は高圧ガスであり、有資格者による管理が必要となるなど様々な課題があったという。

NECNTT Comは、DC内の通信機器設備の空調におけるノンフロンの新冷媒R1224ydを用いた冷却システムを開発し、共同実験を行った。結果、空調消費電力は従来システムと比較して半減できることを実証した。新開発システムは、低圧冷媒を空冷空調機用途(20冷凍トン相当)として世界で初めて実用化したものであり、既存フロア、サーバルーム等への設置が容易な構造とされている。

「既設DC設備へ後付け、増減設容易な空調システムの実現」、「『相(気体液体)変化冷却技術』により大型空調機並みの冷却能力を大流量で実現」といった特長を備えていて、消費電力削減および地球環境負荷の低減に貢献することが期待される。新冷却システム開発の成果の一部は、'17年度よりNECが参画しているNEDOプロジェクト「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」によるものだ。