コロナ禍の避難所運営、3密リスクをAIにて低減する実証実施

自然災害はいつどこで起きても不思議ではない。日本列島においては今日、災害発生時に都市部の避難所は過度に混雑することが想定される。災害から逃れた人たちの安全を確保しつつ、3密(密閉・密集・密接)を回避して、新型コロナウイルスの感染リスクを低減することが重要だという。

東北大学災害科学国際研究所東京大学地震研究所富士通川崎市は、コロナ禍での自然災害を想定した避難所運営の実証実験を8月31日に川崎市川崎区にて実施する。'17年からの「川崎臨海部におけるICT活用による津波被害軽減に向けた共同プロジェクト」の一環として、本年は避難所の3密リスク低減、より安全な避難に向け、感染を考慮した人流シミュレーションおよびAI画像解析技術を活用した実証実験を行う。

川崎市立殿町小学校にて、約60人が参加する実験当日は、避難所付近に置いたカメラ映像から避難者の数や属性などの情報を富士通のAI画像解析ソリューションで自動収集し、混雑状況を把握する。計測された情報はリアルタイムに災害対策本部に転送され、新型コロナ対策に活かされる。3密リスク低減に向けた早期の適切な対応を可能にする。

実証実験に先立ち、両研究所および富士通研究所が開発した様々な状況下での人の流れを再現する技術に、今回新たにコロナ感染リスク評価機能を組み込み人の流れの違いによるリスク変化をシミュレーション可能にした。「感染を考慮した人流シミュレーション技術」によって、避難者の中に新型コロナウイルス感染者がいると仮定した上で、人の流れの違いによって異なる感染リスクを可視化し、より適切な避難所運営計画を検討する。

4者は上記実証実験で得た知見をもとに、コロナ禍でのより安全な避難に向けた施策検討を行っていく。災害時に限らず人が集まる施設・イベント等における混雑検知や感染リスク低減をめざし、今回開発・評価した技術適用の可能性も検討していく構えだ。